今回super GTドライバーの藤原さんにインタビューさせていただきました。普段は聞けないことを詳しく聞くことができたのでぜひご覧ください。
初めてレーシングカートに乗ったのが4歳の頃ですね。たまたま父の知人がモータスポーツのレーシングカートをしていて、その方から「親子の絆が深まるし、すごいいいよ」と勧められたんです。
── まだ4歳くらいだとあんまりよく分からなかったのではないですか?
そうですね。「なんか楽しいな~」ってふわふわした感じで…。
── そこからずーっとカートに関することに興味があったんですか?
実家が車屋さん※なので、小さい頃からずっと車を見てたし興味自体はあったので。
最初ドリフトをやるきっかけが2020年に本来はマレーシアのFIA F4というシリーズに参戦する予定だったんです。でもコロナで全てキャンセルになってしまって…。
その時間何もしてないのは凄くもったいないなと思って、何か出来ることはないかな?と考えた時にドリフトは結局滑らせるので限界領域のコントロールになるんですね。
限界領域のコントロールが下手だったので、「ちょうどええやん」っていうので始めました。
ドリフトでは中村直樹選手ですね。たまたま紹介してもらったのが中村選手だったんです。やっぱりもの凄く上手くて、車のパフォーマンスが対戦相手よりも低いにも関わらず、ぶっちぎりで勝ったりとか。
そういう人が師匠なんで、自分も車を言い訳にしないで自分の腕と真摯に向き合わなければいけないと思いました。
── なるほど。そのために、どういう練習をされたんでしょうか?
そうですね…大会が練習一本の本番二本走行とかなんですね。なので、日頃の練習のときも一本軽く走った後に二本本番のつもりで走ってみたりとか。あとは外から見てもらって、「ここもうちょっと外側行った方が審査の時は点数高いよ」みたいなので、自分の感覚と外から見た時を擦り合わせたりというような感じです。
初めての時は5歳ぐらいですね。多分初めてレースに出た時が、僕もの凄く遅くて…。周回遅れとかだったんですよね。
その時の写真とか見て「こんなんやったんちゃうかな~?」って思い出した感じなんですけど、3回目のレースとかも周回遅れになってて、その辺でやっと「うわ、むちゃむちゃ悔しいやん」ってなって。
── では、悔しいって思ったのがバネになって今に繋がってるって感じでしょうか?
そうですね。
ここ3年のフォーミュラ乗り出してからと考えたら、2023年のFIA F4のSUGOですね。それが一番個人的には印象に残ってるかなという感じです。
── どういったところが印象に残ったポイントでしょうか?
テスト走行が木曜日、金曜日とあるんですけど…そこから1個1個積み上げて積み上げていい車を作っていけたんです。その流れが凄い良かったんじゃないかなと思います。
── 他のレースと違ったところはどんなところでしょう?
いつもレースに入る前は「こうなったら、こうしよう」っていうパターンをいくつか考えていくんですよ。それがこのSUGOの時はうまく当てはまって。
他のレースの時、木曜日に持ち込んだ時点で「あれ?なんか外してる」ってなって、そこのタイムロスで結局ライバルに差を開けられてしまったりとかあるんですけど、この時はうまく計算して持っていけたのでそこが良かったです。
相手と当たるのはもうしょうがないんで、そこのリスクに関しては何も考えないというか、考えても仕方ないかなっていうのがずっとあって。
── プロテクターとか付けていたんですか?
そうですね。カートの時は付けてました。四輪だったら車があるんで大丈夫なんですけど。あと一人で走ってると「これ、事故するんちゃうかな」っていうところを自分の中でちゃんと「じゃあ、このスピードのこの曲がり方だったら絶対ダッシュできる」っていう自信さえあったら何も怖くないんで。
── それは凄いですね。そこまで覚悟が決められるっていうのも才能なのかな?と思うのですが…。
才能なのか、頭が入ってないから考えられてないかのどちらかかもしれないですけど(笑)。
レースは週末の木曜日とかから入ったりするので、どうやっても学校と重なってしまうんですよ。重なるのはどうしようもないんで、出来るだけ日々の授業の時にもちゃんと受けられるようにしていました。
決してサボってる穴埋めをしようとしてるわけではないけど、“学業を疎かにするつもりではないよ”っていうのをアピール出来るようにはしてきましたね。
── それでもテスト前とか大変じゃなかったですか?
それは大分友達に助けられましたね。
── なるほど、人望があったからこそ両立も出来たって感じですね。
事故しない、っていうところですね。やっぱりレース中に事故してしまったら、自分のレースも潰れるし、相手も潰れるし。そうするとRESULTにも残らないし、お互いいいことないんですよね。とにかく事故を起こさないっていうことに気を付けています。
── 確かにそうですね。事故は一般のドライバーさんも当然起こさない方がいいと思うんですけど、事故を起こさないようするアドバイスってありますか?
事故をするっていうのは、お互いが限界を超えた時なんで…。限界を超える一歩手前で冷静に考えてみるとか、こっちが先に引くとか。
結局そこで引かないと事故したらすべてが無くなるので。一旦引いて次のチャンスを伺う方が絶対次に繋がるので、そこで意地の張り合いしない方がいいかなと思いますね。
僕は目標を細切れに立ててます。大きくて高い目標をドーンと立ててしまっても、多分それ到達するのは無理なんで。
なので、ちょっとずつ細切れにして達成したっていう自分の実績と自信にしていくことで、次の目標も達成出来るし、その次も達成出来るかなって思います。
まずsupre GTだったら最終的にGT500、一番上のカテゴリに向かって頑張りたいですね。
── GT500に行く前に直近の目標みたいなものはあるんでしょうか?
そうですね。GT500に行くには、まずGT300で速さを見せつけていかないといけないと思います。
僕、どっちかっていうと予選が苦手なタイプのドライバーなんです。そこを練習でも一発タイムを出せるようにして、速さを見せつけれたらな~と思ってます。
──
予選が苦手というのは何か理由があるんですか?
そうですね…予選の組み立てるのがあんまり得意じゃなくて。
── 自分の不得意を知ってるのは大事なポイントですね。そこを解消することで先に進めるって思えるので、勉強になります。
そうですね。これから絶対どこかで挫折すると思うんですよね。逆に上手く行かないことの方が多いというか、上手く行かないことしかないんで、基本。それで諦めてしまうんですよね。実際、キッズカートで一緒だった子たちも全員辞めてしまっていて。
だけど、上手く行かないことの中にも最善策があったり、また解決策もあったりするので、常に良くすることを忘れないようにしたら、いつか誰かが見てるんで。
そういう努力を見てる人は見てるので、諦めないで欲しいなと思います。
── 藤原さんの場合は、ご家族とか周囲の人の協力が大きかったのでしょうか?
やっぱり家族にしてもチームの人にしても、色んな人の協力が無かったら苦境を乗り越えることはできなかったので。
── そうですね。では、藤原さんが一番感謝を伝えたい相手は誰でしょう?
家族ですね。
── 素晴らしい ですね。きっとご家族の皆さんも嬉しいと思います。